かつてFIFAワールドカップの年の宝塚記念はサッカーボーイ関係の血統が活躍するという冗談が一部で信じられていて、実際、下表の通り1998年ステイゴールド2着(9番人気)、2002年ツルマルボーイ2着(4番人気)、2006年バランスオブゲーム3着(9番人気)、2010年ナカヤマフェスタ1着(8番人気)、2014年ゴールドシップ1着(1番人気)と穴党も喜ぶ結果にはなっていたのだが、表をよく見れば分かるように毎年のようにステイゴールド産駒の活躍が続いた時期もあって、サッカーボーイとワールドカップにはあまり関係がないと露呈してしまった。そのため梅雨時に強いステイゴールドが宝塚記念-G1でも強いというごくまっとうな結果がしばらく続いたあと、2010年代後半に入るとそれさえも忘れられるようになった。しかし、一昨年、ドリームジャーニーの娘で中山牝馬S-G3を勝ったばかりのスルーセブンシーズがイクイノックスからクビ差のきわめて惜しい2着となり、ステイゴールド系が宝塚記念-G1に強い(場合もある)という傾向は細々と継続していることを示した。 |
ダイナサッシュ一族の宝塚記念実績(牡牝混合系統図) |
ダイナサッシュ(牝、1979、父ノーザンテーストCAN) サッカーボーイ(牡、1985、父ディクタスFR) | ツルマルガール(牝、1991) | | ツルマルボーイ(牡、1998、父ダンスインザダーク)2002[2]、2003[2] | ヒシミラクル(牡、1999)2003[1] ベルベットサッシュ(牝、1986、父ディクタスFR) | ホールオブフェーム(牝、1991、父アレミロードUSA) | バランスオブゲーム(牡、1999、父フサイチコンコルド)2006[3] ゴールデンサッシュ(牝、1988、父ディクタスFR) ステイゴールド(牡、1994、父サンデーサイレンスUSA)1998[2]、1999[3] | ドリームジャーニー(牡、2004)2009[1] | | スルーセブンシーズ(牝、2018)2023[2] | ナカヤマフェスタ(牡、2006)2010[1] | オルフェーヴル(牡、2008)2012[1] | ゴールドシップ(牡、2009)2013[1]、2014[1] キューティゴールド(牝、2004、父フレンチデピュティUSA) ショウナンパンドラ(牝、2011、父ディープインパクト)2015[3] |
( )内に父名がないのは父系統 |
○ドゥレッツァは一昨年の菊花賞-G1を最後に勝利から遠ざかっているが、ジャパンカップ-G1でドウデュースからクビ差2着、ドバイシーマクラシック-G1では強豪レベルスロマンスに先着しての3着だから地力では最右翼といえる。ここは父が2着に終わって故障、引退となったいわくつきのレースだが、2022年のタイトルホルダー同様、父の取り残したG1を集めていくことになるのかもしれない。母モアザンセイクリッドAUSは3歳時にニュージーランドオークス-G1(2400m)、サンラインヴァーズ-G3(2100m)に勝ち、4歳時にワイカトタイムズゴールドカップ-G3(2400m)に勝ってオークランドカップ-G1(3200m)で3着となったステイヤー牝馬。母の父モアザンレディはスプリンターに近い早熟なマイラーだったが、4代母フルーイションの産駒にブリーダーズカップターフ-G1のノーザンスパー、ドンカスターカップ-G3のネラー、同じくグレイトマークウェスらがいるステイヤー牝系とはいえる。ヴィクトリアマイル-G1に勝ったテンハッピーローズは4代母フルイションの玄孫で、5代母ウェルシュフレイムの孫に愛ダービー-G1に勝った英オークス馬サルサビルがいる。 ▲ローシャムパークは3代母が天皇賞(秋)、優駿牝馬に勝ったエアグルーヴ。勝ったレースよりむしろジャパンカップ-G1の2着(2回)、サイレンススズカ、ステイゴールドに続く3着となった宝塚記念の勇敢な戦いが評価される名牝ということもできる。父ハービンジャーはなぜか最近フィリーサイアーの傾向を強めてきているが、4歳時にキングジョージ6世&クイーンエリザベスS-G1をレース史上最大の11馬身差で制した名馬。母の父キングカメハメハはこのレースで直子に2015年ラブリーデイと2018年ミッキーロケットの2頭の勝ち馬が出ている。こちらはニジンスキー、トライマイベストUSA、ノーザンテーストCANとE.P.テイラー・ブランドのノーザンダンサー直仔を3本備えている。 産駒の15年連続G1制覇がかかるディープインパクトは4頭出し。△ジャスティンパレスは天皇賞(春)-G1の着順のせいか評価が下がり過ぎ。名門マルガレーゼン牝系の△ヨーホーレイクは既に7歳だが、まだ13戦しか消化していない。伸びる余地は大きい。 |
競馬ブックG1特集号「血統をよむ」2025.6.15
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