11月7日現在のブルードメアサイアーランキング(JBIS発表)によると1位キングカメハメハの収得賞金は42億4107.3万円で、2位ディープインパクトは41億4188.7万円でその差は約1億円。このレースを勝てば逆転できることになる。母の父ディープインパクトは先週オオバンブルマイがオーストラリアの高額賞金競走ゴールデンイーグルに勝って約4億7000万円を稼いでいて、そうかと思うと母の父キングカメハメハはウシュバテソーロがドバイワールドカップ-G1に勝ったことにより約9億円、どちらもサイアーランキングに算入されない稼ぎがある。グローバルな種牡馬統計を作ろうとすると日本の賞金水準が高いためにかつて米ブラッドホース誌などは苦心の補正を施して妥当な数値に近づけようとしていたが、今や一般的な賞金水準とケタが違うレースまでも日本馬が勝つようになり、もう統計作成者は泣き寝入りするほかないのではないだろうか。 |
母の父として実績を積み上げるディープインパクト | |||||
馬名 | 生年 | 毛色 | 性 | 父 | 重賞勝ち |
キセキ | 2014 | 黒鹿 | 牡 | ルーラーシップ | 菊花賞-G1 |
Blowout | 2016 | 鹿 | 牝 | Dansili(GB) | ファーストレイディS-G1、チャーチルディスタフターフマイルS-G2 |
ハッピーアワー | 2016 | 鹿 | 牡 | ハービンジャーGB | ファルコンS-G3 |
ヒンドゥタイムズ | 2016 | 鹿 | せん | ハービンジャーGB | 小倉大賞典-G3 |
ファンタジスト | 2016 | 黒鹿 | 牡 | ロードカナロア | 京王杯2歳S-G2、小倉2歳S-G3 |
ブラヴァス | 2016 | 鹿 | 牡 | キングカメハメハ | 新潟記念-G3 |
ラストドラフト | 2016 | 黒鹿 | 牡 | ノヴェリストIRE | 京成杯-G3 |
アリストテレス | 2017 | 鹿 | 牡 | エピファネイア | アメリカジョッキークラブC-G2 |
エヒト | 2017 | 鹿 | 牡 | ルーラーシップ | 七夕賞-G3、小倉記念-G3 |
ヒートオンビート | 2017 | 鹿 | 牡 | キングカメハメハ | 目黒記念-G2 |
ボンボヤージ | 2017 | 鹿 | 牝 | ロードカナロア | 北九州記念-G3 |
アンドヴァラナウト | 2018 | 黒鹿 | 牝 | キングカメハメハ | ローズS-G2 |
オールアットワンス | 2018 | 鹿 | 牝 | マクフィGB | アイビスサマーダッシュ-G3×2 |
ジェラルディーナ | 2018 | 鹿 | 牝 | モーリス | エリザベス女王杯-G1、オールカマー-G2 |
ステラヴェローチェ | 2018 | 黒鹿 | 牡 | バゴFR | 神戸新聞杯-G2、サウジアラビアロイヤルC-G3 |
ディヴィーナ | 2018 | 鹿 | 牝 | モーリス | 府中牝馬S-G2 |
ビッグリボン | 2018 | 鹿 | 牝 | ルーラーシップ | マーメイドS-G3 |
マリアエレーナ | 2018 | 芦 | 牝 | クロフネUSA | 小倉記念-G3 |
ルークズネスト | 2018 | 鹿 | 牡 | モーリス | ファルコンS-G3 |
ワンダフルタウン | 2018 | 鹿 | 牡 | ルーラーシップ | 青葉賞-G2、京都2歳S-G3 |
プレサージュリフト | 2019 | 黒鹿 | 牝 | ハービンジャーGB | クイーンC-G3 |
レッドモンレーヴ | 2019 | 鹿 | 牡 | ロードカナロア | 京王杯スプリングC-G2 |
オオバンブルマイ | 2020 | 鹿 | 牡 | ディスクリートキャットUSA | 京王杯2歳S-G2、アーリントンC-G3、(ゴールデンイーグル) |
ドルチェモア | 2020 | 鹿 | 牡 | ルーラーシップ | 朝日杯フューチュリティS-G1、サウジアラビアロイヤルC-G3 |
マスクトディーヴァ | 2020 | 黒鹿 | 牝 | ルーラーシップ | ローズS-G2 |
アスクワンタイム | 2021 | 鹿 | 牡 | ロードカナロア | 小倉2歳S-G3 |
ゴンバデカーブース | 2021 | 青鹿 | 牡 | ブリックスアンドモルタルUSA | サウジアラビアロイヤルC-G3 |
別定戦時代のマーメイドSは勝ち馬にエアグルーヴ、エリモエクセル、フサイチエアデール、ヤマカツスズラン、ローズバド、アドマイヤグルーヴ、ダイワエルシエーロとそうそうたる名前が並んでいたものだが、2006年にハンデ戦に替わるとレースの質はすっかり様変わりした。しかし、2015年の勝ち馬シャトーブランシュは繁殖入りすると、世界最強馬イクイノックスを生んだ。牝馬の重賞には内容が格付けに見合わないと思われるものがときどきあるが、それでも大切にしなければならない理由がここにある。今年の勝ち馬○ビッグリボンは菊花賞馬キセキの全妹で朝日杯フューチュリティS-G1のドルチェモアとも同じ大物配合ルーラーシップ×ディープインパクト。祖母ロンドンブリッジはファンタジーSに勝ち桜花賞2着の活躍馬で、産駒ダイワエルシエーロは優駿牝馬に勝った。5歳でもまだまだ伸びる余地がある。 3歳時のジェンティルドンナが桜花賞-G1、優駿牝馬-G1、ローズS-G2、秋華賞-G1と連勝しているときにすべて2着だったのがヴィルシーナで、エリザベス女王杯-G1ではやっとジェンディルドンナがいなくなったと思ったらレインボーダリアの大駆けにクビ差2着と敗れ、それでもその後は2度ヴィクトリアマイル-G1に勝っている。同じ時代に走るのがもったいないような2頭の娘は同じモーリスを父として同じレースを走ることになった。母の序列が仔にも引き継がれることがあるとすると夢のない話だが、現実はおそらく夢のないことの方が多いので、▲ジェラルディーナ、△ディヴィーナが妥当なところなのではないだろうか。 △サリエラは今回唯一のディープインパクト直仔。その数が減ってきたとはいえ、先週はブリーダーズCターフ-G1のオーギュストロダン、アルゼンチン共和国杯-G2のゼッフィーロと重賞2勝でさすがの力を示した。 |
競馬ブックG1特集号「血統をよむ」2023.11.12
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