トニービンIRE産駒のウイニングチケットがこのレースを勝った1993年、ブライアンズタイムUSA産駒のナリタブライアンが勝った1994年、これらを前段階として、サンデーサイレンスUSA産駒のタヤスツヨシが勝った1995年が、日本の競馬が大転回を遂げた時期だった。これら3頭の種牡馬はいずれも初年度産駒から日本ダービー馬を出していて、また、これらはかつての日本の成功種牡馬のように、流行が過ぎると比較的早く衰退していくということもなく、子孫が繁栄して父系を伸ばし、母系に入って働き、サンデーサイレンスUSAは3×4などその近交馬がクラシックで成功を収めるようになった。 |
東京優駿勝ち馬父系図 〜1990年生まれ以降〜 |
Phalaris 1913 Pharos |Nearco | Nasrullah | |Grey Sovereign | | ゼダーンGB | | Kalamoun | | カンパラGB | | トニービンIRE | | ウイニングチケット[60] | | ジャングルポケット[68] | Royal Charger | |Turn-to | | Hail to Reason | | Halo | | |サンデーサイレンスUSA | | | タヤスツヨシ[62] | | | ステイゴールド | | | |オルフェーヴル[78] | | | スペシャルウィーク[65] | | | アドマイヤベガ[66] | | | アグネスフライト[67] | | | アグネスタキオン | | | |ディープスカイ[75] | | | ネオユニヴァース[70] | | | |ロジユニヴァース[76] | | | ハーツクライ 2001 | | | |ワンアンドオンリー[81] | | | ディープインパクト[72] | | | ディープブリランテ[79] | | | キズナ[80] | | | マカヒキ[83] | | | ワグネリアン[85] | | | ロジャーバローズ[86] | | | コントレイル[87] | | Roberto | | ブライアンズタイムUSA | | ナリタブライアン[61] | | サニーブライアン[64] | | タニノギムレット[69] | | ウオッカ[74]牝 | Nearctic | Northern Dancer | Nijinsky | Caerleon | フサイチコンコルド[63] | Sadler's Wells | オペラハウスGB | メイショウサムソン[73] Sickle Unbreakable Polynesian Native Dancer Raise a Native Mr. Prospector Kingmambo キングズベストUSA |エイシンフラッシュ[77] キングカメハメハ[71] ドゥラメンテ[82] レイデオロ[84] 東京優駿勝ち馬父系図フルバージョン |
ディープインパクト産駒が日本ダービーを迎えるまでに世代限定重賞を勝った数は初年度産駒が3勝、2年目の2009年生11勝、2010年生6勝、2011年生7勝、2012年生6勝、2013年生11勝、2014年生7勝、2015年生9勝、2016年生11勝、2017年生10勝だった。今年は4勝だから、平年並みを大きく下回る。個別の能力は別だとしても、世代レベルとしては疑問の生じる余地がある。 ○エフフォーリアは三冠牝馬デアリングタクトによって成功したサンデーサイレンスUSAの近交となるエピファネイア産駒。エピファネイアはキズナに敗れてダービーを逃がしているだけに、アンチ・ディープインパクトを代表する面もあるかもしれないし、そんなことは気にしていないかもしれない。ともあれ、ディープインパクトとは異質の力の血統は、転換期にふさわしいものではある。祖母のケイティーズファーストUSAは短距離のリステッド勝ちがあり、孫にドバイデューティフリー-G1、ジャパンカップ-G1、宝塚記念-G1に勝ったアドマイヤムーンが出た。3代母のケイティーズは愛1000ギニー-G1に勝ち、続くコロネーションS-G2では英1000ギニー-G1勝ち馬でその後ブリーダーズCターフ-G1などを勝つ名牝ペブルスを差し切っている。産駒にはエリザベス女王杯のヒシアマゾンUSA、ローズSのヒシピナクルUSA、フェアリーSのヒシナイルUSA、孫にスプリンターズS-G1のスリープレスナイトがおり、日本競馬に大きな影響を与えた一族だ。 キングカメハメハ系の有利な点はサンデーサイレンスUSA系の力を利用できること。ルーラーシップ産駒▲ワンダフルタウンは母の父がディープインパクトだから菊花賞馬キセキと同じパターン。血統表2代目に日本ダービー馬キングカメハメハとディープインパクト、優駿牝馬のエアグルーヴが並び、祖母の父は独ダービー馬アカテナンゴ、3代母の父は仏ダービー馬ベーリングというダービー志向の強い血統構成。 ディープインパクト直仔では△シャフリヤールの瞬発力に逆転の可能性がある。母はブリーダーズCフィリー&メアスプリント-G1に勝ったほかG2・1勝、G3・2勝のある活躍馬で、全兄アルアインは皐月賞馬。祖母の父が異系の米血グレイトアバヴで、3代母の父がリボー直仔ヒズマジェスティと大レース向きの底力が期待できる。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2021.5.30
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