天皇賞(秋)における牡牝の対決というとあくまで個人的な記憶としてはニッポーテイオーとダイナアクトレスの1987年が一番盛り上がったと思うのだが、レースではニッポーテイオーが一方的に逃げ切り、ダイナアクトレスは伸びそうで伸びず8着に終わって明暗を分けた。それら2頭は同世代で何度も戦って勝ったり負けたりを繰り返してのもので、初対決の緊張感がみなぎる今回とは随分様相が違うが、それだけ競馬のあり方、一流馬の競走生活のあり方が変わってきたのだろう。 |
キングカメハメハ産駒のG1勝利 太字は東京 | |||||||||
馬名 | 性 | 生年 | 母の父 | レース | 距離 | 斤量 | 人気 | 単勝 オッズ | 馬体 重 |
アパパネ | 牝 | 2007 | Salt Lake | 2010 桜花賞G1 | 芝1600 | 55 | 1 | 2.8 | 480 | 2010 優駿牝馬G1 | 芝2400 | 55 | 1 | 2.1 | 470 | 2010 秋華賞G1 | 芝2000 | 55 | 1 | 2.3 | 490 | 2011 ヴィクトリアマイルG1 | 芝1600 | 55 | 2 | 4.1 | 490 |
ローズキングダム | 牡 | 2007 | サンデーサイレンスUSA | 2010 ジャパンCG1 | 芝2400 | 55 | 4 | 8.8 | 462 |
ルーラーシップ | 牡 | 2007 | トニービンIRE | 2012 QエリザベスU世CG1 | 芝2000 | 57 | 2 | 5.5 | 498 |
ロードカナロア | 牡 | 2008 | Storm Cat | 2012 スプリンターズSG1 | 芝1200 | 57 | 2 | 4.4 | 494 | 2012 香港スプリントG1 | 芝1200 | 57 | 3 | 4.0 | 494 | 2013 高松宮記念G1 | 芝1200 | 57 | 1 | 1.3 | 498 | 2013 安田記念G1 | 芝1600 | 58 | 1 | 4.0 | 500 | 2013 スプリンターズSG1 | 芝1200 | 57 | 1 | 1.3 | 494 | 2013 香港スプリントG1 | 芝1200 | 57 | 1 | 1.8 | 491 |
ベルシャザール | 牡 | 2008 | サンデーサイレンスUSA | 2013 JCダートG1 | ダ1800 | 57 | 3 | 8.4 | 538 |
ホッコータルマエ | 牡 | 2009 | Cherokee Run | 2013 東京大賞典G1 | ダ2000 | 57 | 1 | 1.6 | 501 | 2014 チャンピオンズCG1 | ダ1800 | 57 | 2 | 5.9 | 508 | 2014 東京大賞典G1 | ダ2000 | 57 | 1 | 1.7 | 501 |
レッツゴードンキ | 牝 | 2012 | マーベラスサンデー | 2015 桜花賞G1 | 芝1600 | 55 | 5 | 10.2 | 464 |
ドゥラメンテ | 牡 | 2012 | サンデーサイレンスUSA | 2015 皐月賞G1 | 芝2000 | 57 | 3 | 4.6 | 486 | 2015 東京優駿G1 | 芝2400 | 57 | 1 | 1.9 | 484 |
ラブリーデイ | 牡 | 2010 | ダンスインザダーク | 2015 宝塚記念G1 | 芝2200 | 58 | 6 | 14.2 | 488 | 2015 天皇賞(秋)G1 | 芝2000 | 58 | 1 | 3.4 | 486 |
リオンディーズ | 牡 | 2013 | スペシャルウィーク | 2015 朝日杯FSG1 | 芝1600 | 55 | 2 | 5.9 | 496 |
レイデオロ | 牡 | 2014 | シンボリクリスエスUSA | 2017 東京優駿G1 | 芝2400 | 57 | 2 | 5.3 | 480 | 2018 天皇賞(秋)G1 | 芝2000 | 58 | 2 | 3.1 | 482 |
ミッキーロケット | 牡 | 2013 | Pivotal | 2018 宝塚記念G1 | 芝2200 | 58 | 7 | 13.1 | 476 |
アーモンドアイとサートゥルナーリアの比較は血統的にはそれぞれの母であるフサイチパンドラとシーザリオの比較となる。タイトルの比較では優駿牝馬とアメリカンオークス-G1に勝ったシーザリオが勝り、産駒成績でもエピファネイア、リオンディーズと既に3頭のG1勝ち馬を送り出して圧倒している。○サートゥルナーリアの血統表には父系曽祖父のキングマンボ、祖母の父としてサドラーズウェルズが潜んでおり、これらエルコンドルパサー的な要素でスペシャルウィークを挟んでいる物語性がこの配合の見どころのひとつ。これは恐らく東京コースへの適性にもつながるだろう。ここにも4代目にストームバード、5代目にニジンスキーとテイラー・ブランドのノーザンダンサー直仔の名前が見える。 ▲アーモンドアイの母フサイチパンドラは大レース勝ちこそカワカミプリンセスの降着で得たエリザベス女王杯のひとつだけだが、続くジャパンC-G1で同世代の2冠馬メイショウサムソンに先着して5着になったり札幌記念に勝ったり、秘めた力はタイトル以上のものがあった。3代母のセックスアピールは直仔にデューハーストS-G1のトライマイベストIRE、英2000ギニー-G1のエルグランセニョールを出すほか、ブリーダーズCマイル-G1に勝った曾孫のドームドライヴァーまで子孫は大繁栄しており、4代母ベストインショウの子孫にもデューハーストS-G1のザール、ベルモントS-G1のラグズトゥリッチズ、そしてカジノドライヴUSAなど多くの名馬名牝が出た。日本が誇る名牝は名血の塊でもあるのだ。 ディープインパクト産駒の5頭のG1勝ち馬があまり人気がないのは不気味だが、△はステイゴールド産駒ウインブライト。父は天皇賞(秋)に4回出走して(2)(2)(7)(7)着。2度の2着は1998年のオフサイドトラップから0秒2、1999年はスペシャルウィークからクビの僅差だった。母の父アドマイヤコジーンは1998年に朝日杯3歳Sに勝ち、その4年後に安田記念に勝った。父コジーンの血と母の父ノーザンテーストCANの血はこのレースでも物をいうはずで、父がステイゴールドなのでノーザンテーストCANは4×4の近交になる。牝系は1980年代の名門ゲラン〜ミスブゼンNZ系。大敗後でも軽視不可。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2019.10.27
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