今年は7月12、13日の2日間で行われる日本競走馬協会「セレクトセール」。上場馬は同協会のウェブサイト(http://www.jrha.or.jp/index.html)上で公開されている。1歳馬と当歳馬合計から現時点の欠場馬を除いた432頭のうち、サンデーサイレンスUSA系種牡馬の産駒は241頭で全体の56%。母の父がサンデーサイレンスUSAかその直仔というのが94頭いるので、それを加えると全体の77%が父母いずれかからサンデーサイレンスUSAの血を受けていることになる。今回は出走馬18頭中14頭がサンデーサイレンスUSAの仔か孫なので、“SS率”は78%。セレクトセールと相似形になった。今年ここまでのG1/Jpn1も13戦中9つをサンデーサイレンスUSAの孫が勝っていて“SS率”は69%。やはり7割に近い。善し悪しは別にして、これが現実。 |
サッカーボーイ血統の活躍 | |||||
サッカーボーイ(牡、1985年生、栗毛、白老産、父ディクタスFR、母ダイナサッシュ、母の父ノーザンテーストCAN)11戦6勝、最優秀3歳牡馬(旧表記)、最優秀スプリンター【主な勝ち鞍】マイルチャンピオンシップ、阪神3歳S、函館記念、中スポ4歳S | |||||
年度 | 着順 | 人気 | 馬名 | 性齢 | 備考 |
1993 | 2 | 8 | イクノディクタス | 牝6 | 父ディクタスFR×母の父ノーザンテーストCAN |
1995 | 8 | 11 | ゴーゴーゼット | 牡4 | 父サッカーボーイ |
1998 | 2 | 9 | ステイゴールド | 牡4 | 母がサッカーボーイの全妹 |
1999 | 3 | 7 | ステイゴールド | 牡5 | 母がサッカーボーイの全妹 | 11 | 10 | インターフラッグ | 牡6 | 父ノーザンテーストCAN×母の父ディクタスFR |
2000 | 4 | 5 | ステイゴールド | 牡6 | 母がサッカーボーイの全妹 |
2001 | 4 | 5 | ステイゴールド | 牡7 | 母がサッカーボーイの全妹 |
2002 | 2 | 4 | ツルマルボーイ | 牡4 | 母の父サッカーボーイ |
2003 | 1 | 6 | ヒシミラクル | 牡4 | 父サッカーボーイ | 2 | 8 | ツルマルボーイ | 牡5 | 母の父サッカーボーイ | 11 | 11 | バランスオブゲーム | 牡4 | 祖母がサッカーボーイの全妹 |
2004 | 6 | 4 | ツルマルボーイ | 牡6 | 母の父サッカーボーイ |
2006 | 3 | 8 | バランスオブゲーム | 牡7 | 祖母がサッカーボーイの全妹 | 13 | 9 | アイポッパー | 牡6 | 父サッカーボーイ |
2008 | 9 | 8 | ドリームパスポート | 牡5 | 祖母がサッカーボーイの全妹 |
2009 | 1 | 2 | ドリームジャーニー | 牡5 | 父の母がサッカーボーイの全妹 |
※関係ないとは思うが年度の太字はFIFAワールドカップ開催年 |
○ドリームジャーニーは父が宝塚記念4回出走、母の父は1勝2着1回、自身も1勝。血統的な経験値(?)ではメンバー中随一であり、4×3となるノーザンテーストCANもこのレースでの重要血脈のひとつ。ノーザンテーストCANの良さの一面であるタフさとか渋太さが出てくるのは恐らくこれから。昨年同様の過程でなくても、帳尻を合わせるしたたかさが備わっているのではないだろうか。 ▲ブエナビスタはドイツのシュヴァルツゴルト系出身。マンハッタンカフェから英ダービーG1のスリップアンカーまで、ドイツを出ても大活躍しているファミリーで、ドイツ外血統との組み合わせで発展性を示すのが強み。今年のダービー馬エイシンフラッシュもドイツ血統だから、こういう穏やかなブームは長く続くものなのかもしれない。いずれにせよ奥の深さがドイツ血統の良さであり、父スペシャルウィークも古馬になってからその強さを確かなものにしている。4歳の今年、まだ上昇の途中と考えれば、これまで以上のパフォーマンスを期待しておいていいだろう。 △メイショウベルーガは一昨年の勝ち馬エイシンデピュティと同じ父フレンチデピュティUSA。母の父サドラーズウェルズはテイエムオペラオーやメイショウサムソンの父系祖父。近親にあたるダンシングブレーヴUSAはスイープトウショウやメイショウサムソンの母の父となった。このようにパーツごとに見ると、このレースに実績のある血脈を集めていることが分かる。母の父としてのサドラーズウェルズは、これまでもエルコンドルパサーUSAやコンデュイットIREをはじめ多くの大物を送り出したが、今年も娘の産駒ワークフォースが英ダービーG1制覇と勢いがある。 サンデーサイレンスUSA、トニービンIRE、ノーザンテーストCANという日本3大血脈はこのレースでも実績豊富。その3本の組み合わせになっているのが、ジャガーメイル、フォゲッタブル、そしてコパノジングーの3頭。ジャガーメイルはイクノディクタスの祖母の曾孫。フォゲッタブルは母エアグルーヴがブエナビスタの母と同期で、ひょっとすると今より牡馬が強い時代に天皇賞(秋)を制してジャパンCG1で2度2着となった。 |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2010.6.26
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