今年のメルボルンCはサンデーサイレンスの直系の孫デルタブルースと娘の産駒ポップロックが地元馬を引き離してワンツーを決めた。最後の3歳クラシックは0勝に終わったが、天皇賞(秋)でも直仔が1、2着を占めたように、やはり底力がある。 さて、今回はダンシングブレーヴの直系の孫であるカワカミプリンセスと、娘の子スイープトウショウの対決ムードとなった。ダンシングブレーヴは英仏米で2〜3歳時10戦8勝。その戦績は繰り返さないが、87年に引退して種牡馬入り。その年マリー病にかかり、恐らく生涯その影響からは逃れられなかったのだろう、現代の一流種牡馬の水準に比べれば少ない産駒しか残せなかった。88年生まれから2000年生まれまでの13クロップで、米ジョッキークラブ社の統計によると全部で435頭。そのうち種牡馬生活の後半を過ごした日本では263頭の産駒が血統登録された。1世代平均で30頭強の戦力だ。サンデーサイレンスと規模で比較すると3分の1程度で、重賞勝ち馬は20頭。舞台の違いは考慮に入れてもサンデーサイレンスの重賞勝ち産駒140頭弱に比べると分が悪いが、その20頭のうち9頭がG1勝ち馬で半分近い割合になる。G1勝ち馬が重賞勝ち馬のうち3分の1弱というサンデーサイレンス(これも凄い数字だが)に大物率という点では優っている。97年のこのレースでSS産駒ダンスパートナーを差し切ったエリモシックに象徴されるように、統計の値よりも個々の力の突出で勝負する血統ということはできるだろう。直仔は今はもう中央に10頭ほど残るのみで、孫の時代に入った。そこで、直仔と孫のG1勝ち馬を右表に示してみた。本来こうやって牡牝をごちゃ混ぜにしてしまうものではないが、ちょうど手頃で見やすい規模なので禁じ手を使ってみた。これで数えると直系に6頭、娘の子に9頭の計15頭。ちなみにサンデーサイレンスは直系に9頭で娘の子に3頭の計12頭。4年のアドバンテージがあるにしても、産駒の絶対数の違いを考えれば現状のサンデーサイレンス以上の優秀さといえるだろう。 |
直仔と孫のG1、JRAG1勝ち(太字、赤字は牝馬) |
ダンシングブレーヴUSA |
競馬ブックG1増刊号「血統をよむ」2006.11.12
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