■東京11R・安田記念■

 連覇を狙うモーリスは圧倒的な強さを見せた香港マイルから中1カ月。着地検疫と並行して東京競馬場で調整されてきたわけだが、国外遠征の経験豊富なアジアのマイル王の“来日初戦”と解釈すれば臨戦過程自体はさしたる不安材料にはならない。優れた環境適応能力は、母子2代の凱旋門賞馬にして種牡馬としては日本経由でオセアニアで成功を収めた母の父カーネギーに由来する属性だろう。
 今回のモーリスの立ち位置は2年前のジャスタウェイに近い。“暫定世界チャンピオン”として出走したジャスタウェイが極悪馬場でグランプリボスをねじ伏せたのは記憶に新しいが、当時のジャスタウェイとの違いはレーティングの突出度。プレレーティング124ポンドは次位に5ポンド差で、着差換算2馬身半は絶対安全圏ともいえない。大連勝の背景にあった数値化不能の勝負強さを初騎乗の鞍上が引き出せるかどうか。その点で2番手グループにも付け入るスキはある。
 レーティング119ポンドの香港馬コンテントメントは、3年連続の来日で着外に敗れたグロリアスデイズと同じユソネット産駒。普通に考えれば分の悪いリターンマッチだが、こちらは母の父コマンズ経由で安田記念のVIPサイヤーともいえるデインヒルの血を受けている。ここは東京芝1600bで戦力倍増の可能性にかけてみたい。世界的ニックスとなった“ディープ・キャット配合”の2騎、「母の父デインヒル」のフィエロまで。

◎コンテントメント  ○モーリス  ▲リアルスティール  ☆サトノアラジン  △フィエロ

「スポニチ平成28年6月5日付け掲載」

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