血統は語る
■京都11R・菊花賞■
週中の「血統トピック」にも書いた通り、3冠馬不在の10年はそのまま“サンデーサイレンス産駒の時代”と言い換えることができる。3冠馬の出る世代は低レベル、という教条主義的定説を逆手に取れば、“3冠馬の出ない時代”はすなわち、この国のクラシックが長く高度成長期にあったことの証明ともいえるだろう。昨年までにサンデーサイレンス産駒は皐月賞に6勝、ダービーに5勝、菊花賞に3勝しているが、3冠を独占する馬は現れなかった。モンスターサイヤーの規格外の種牡馬能力がクラシック候補の乱立を招き、結果として“1頭独裁”を許さなかったというわけだ。
そんな状況下でディープインパクトはいとも簡単にトリプルクラウンを手に入れようとしている。従来のサンデーサイレンス産駒の概念さえ覆す“突然変異種”の出現である。他のSSチルドレンを含め、並のサラブレッドではどうにも太刀打ち不可能。無粋な血統分析は封印して、世紀のパフォーマンスをしっかり目に焼きつけたい。
皐月賞のシックスセンス、ダービーのインティライミはどちらもディープインパクトとは初顔合わせだった。というわけで2着候補の筆頭には心的外傷?を受けていない新興勢力を抜擢したい。フサイチアウステルは父ストーミンフィーヴァーの母の父が米3冠馬シアトルスルーで、母ジェンダーウォーの父の父が英3冠馬ニジンスキー。“日本の3冠馬”の戴冠劇には欠かせないキャストだろう。特にニジンスキー血脈は今なお黒幕的威力を発揮する菊花賞の必須アイテムだ。
◎ディープインパクト
○フサイチアウステル
▲ピサノパテック
☆マルブツライト
△シックスセンス
△ローゼンクロイツ
△コンラッド
△マルカジーク
「スポニチ平成17年10月23日付け掲載」
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